秋と不調

私は秋に精神に不調をきたすタイプだ。秋には美味しい食べものも紅葉も、とびっきり綺麗な西陽もあるのに、季節がある事を忘れてつい無理をしてしまう。完璧な理想の自分になりたいと考える。だけど実際、誕生日は親しい二、三人以外に祝ってくれる人は居ない。いつも憂鬱だし、うまく振る舞えない。夏は致死量の暑さが自らの身に降りかかり、生きようという気が起きるが、秋はほんのちょっとの雨で外に出ようという気が失せる。そんな日々が続いて、急に寒くなりますます出かけようという気が起きず、部屋は荒れ、自ら育てると決めた観葉植物のお手入れもすっかりお留守になっている。寒いと布団から出る意欲もなくなり、カーテンをあける習慣もどこかへ行ってしまう。だけれど、やらなくてはいけないことをなんとかやっていく日々だけがつづく。この日常がつづくことに絶望して、この暮らしをどう変えればいいかもわからず絶望する。その最中、ドカンと不調になって入院。訳もわからず自分が病院にいることすらわからない私の目の前に豚カツがあった。「ここは精神科だから何でも食べられるのよ」と看護師は言った。それから食べることだけが楽しみになって、退院して4年で30kg太った。今でも、秋は楽しみで少しこわい季節。今年は入院しないで乗り越えられるように、毎月の通院と毎日の服薬をつづけて、波のたたない、普通の人なら退屈すぎて辟易するような日々を過ごしている。眠れなければ、一日の中でどこの時間でも眠れれば100点、起きて出掛けられたら120点の日々。だんだんとできることが増えてきた。興味を外に向けることができるようになってきた。観葉植物は生き生きしてきて、部屋は相変わらず汚いけど、あたためることはできる。

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