忘却

大きな地震が来ても、一週間後にはそんなことがあったことすら忘れてる。そのとき覚えた、覚えたての焦りは水滴になって排水溝に流れてった。カーペットの毛の根元に指を這わせていたら電子レンジが音を立てて、立ちあがってマグカップを取りだす。この湯気は私による私のためのもので、液体のチークをカーペットにこぼした誰かのものではない。点けっぱなしのテレビから謎の設定のアラビア語講座が流れて、いつのまにか朝になっている。アラビア語って右から左に読むんだよなぁ確か、とか思って眠りに就く。国道の近くの部屋で昼過ぎに起きて国道沿いの店で用を足して、夕方の退屈を中身がすかすかのクッキーで紛らわせてる。

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